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【愛がいない部屋】 天空に伸びる城 [本のある生活]

空っぽの部屋のローンを返し終える数十年後、
自分はまだ茂人といっしょにいるのだろうかと美広は思った。
そばにいて、茂人が背中を押し続けてくれれば、
暗いほうにむかいがちな心の矢印を、
いつか自分は変えることができるのだろうか。
ハチミツ入りのミルクティをのんだ。
この甘さを一生忘れないだろう。
今日は初めて自分の城と、
その城に似あいの少しくたびれた王子を手に入れた記念日なのだ。



愛がいない部屋 (集英社文庫 い 47-5)

愛がいない部屋 (集英社文庫 い 47-5)

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 文庫



神楽坂に立てられた地上33階の高層マンション。
そこを舞台に繰り広げられる10の短いラブストーリー。

さすが石田衣良。
サッと切れるナイフのようで、
だけど薄く皮だけを切り、血が流れないような文章。
軽やかで柔らかで晴れやかで。

大事件が起きるわけでもないけれど、
普通の毎日でも、人々の心は揺れている。

そんな心の揺れに、読んでいる自分の心も共鳴する。
ゆすぶられる心が、心地いい。

短い時間でも、すらっと気持ちよく読めます。
通勤時間とかにどうぞ。


★★★★☆


【 今までの “本のある生活” 】
http://blog.so-net.ne.jp/yazaru-archi-b-log/archive/c77299
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