【きょうのできごと a day on the planet】 青春ってきっとこんな一日 [Movie with U]
「青春」って言葉を映像にしたら、きっとこんな感じ。
テーブルの上にごちゃごちゃ溢れそうになるくらい並んだ、お酒のビン。
みんなで集まったのに結局やることなくて、ゲームやったり、
くっちゃべったり、一人でテレビ見てたりする夜。
なんだか突然行きたくなって着いた、早朝の海岸。
そんな何気ないけど、とても儚い大切なものたちが、
なにげなく贅沢にたくさんたくさん、ちりばめられている。
そんなとっても、いとおしい映画。
監督、行定勲。
「贅沢な骨」、「GO」、「世界の中心で、愛をさけぶ」。
限りなく儚くて、限りなく切なくて、ココロをギュッと締め付ける、あの名作たち。
また、行定さんにヤラれました…。
天才です。
もうそういうしかありません。
本当に、何気ない一日を描いただけ。
大学生たちの本当によくある一日と、ちょっとだけ特別な「今日の出来事」。
何もないからこそ、大切なこと、大人になってなくしちゃいそうなこと、
あの頃は確かに持っていたもの。
そんなものが、スクリーンの中のものたちが、
等身大の今の自分の中からなくなってしまいそうになっているものたちが、
静かに、だけど強く、訴えかけてきた。
「なくしていいの?」
妻夫木が、田中麗奈が、伊藤歩が柏原収史が。
スクリーンの中にいる若者たちは、美男美女ばかりだけど、
それでもやっぱり、普通にそこらへんにありそうな大学生たちの怠惰な日常と、
きっと、僕らがなくしてしまいそうになっている、心の余裕と密着した何か大切なものを、
等身大に、本当に僕らの周りで起きたことのように、静かに映し出している。
そして静かに流れる、ヤイコの音楽。
テーマソング、ならびに音楽プロデュースは矢井田瞳。
ヤイコファンならずとも、ラストに流れる「マーブル色の日」には、ココロがとろける音を聴くでしょう。
特に何もない日常。
それをただ、淡々と描いている。
期待してみると、期待はずれかも。
だけど、日常に少し疲れた週末とかに、明かりを落として、毛布に包まって、
眠りに着くまでのひと時を、ともに過ごすにはいいんじゃないかなぁ。
見終わった後に、ぽっとあたたかくて優しい気持ちが灯ります。
誰にでもある、大切ではかない、きょうのできごと。
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